測定工具

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測定工具ほど、使いやすくて丈夫で長持ちする物であったほしい。そう考えるのは誰にも当然のことで。車やバイクの整備で何かと使うことの多い測定工具は、測定の基本というだけあってその利用頻度はきわめて高く、作業効率の善し悪しにおいてそれら測定工具の性能、または使い心地が占めている割合は大きい。

測定工具 トルクレンチ

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測定工具選びをする人も、すでに色々持っている人も、自分と車いじりと測定工具というテーマについて参考にしてほしい。

トルクレンチとは、決めた力でネジを締めるための測定工具。

トルクレンチが必要になるのは、締め付けトルクが指定されているものを締めるとき や、締めたいトルクが何kgmかという数値がわかっているとき。どのくらいのトルクで締め付けるべきかわからないところでは、基本的には使い道がない。ネジを締める強さには、個人差がある。締めすぎや緩めすぎは、ボルトをねじ切ったり、緩みなどの原因となる、そんなトラブルを防ぎ、だれでも設定どおりのトルクで締められるようにするのがトルクレンチである。

トルクレンチは「締め付け作業用」と「検査用」に大きく分類できる。
設定トルクで「カチッ」と音がするシグナル式は締め付け作業用。文字盤の数値やデジタル表示を見ながら締めていくが検査用。シグナル式は、メーカー出荷時に目標トルクを設定する単能型と作業ごとに設定しな直せるプリセットタイプに分かれる。単能型は生産工場などで使われるもので、車の整備で一般的に使われるのはプリセットタイプ。ハンドルは樹脂製とメタルタイプがあり、オイルがついて滑るのを嫌う人はメタルを好む。また、シグナル式は内部に摩擦の発生するメカニカルな構造が多く、検査用に比べると若干精度が落ち、耐久性も低下する。

スパナやめがねレンチなどを考えても、握り部分の形状はメーカーによって、また製品の種類によってずいぶんと違う。同じ力で締めるつもりでも、工具が手に食い込み痛さで無意識に手加減してしまうようなことも大いに考えられる。また、レンチを持つ位置によってもかかるトルクは違ってくる。たとえ熟練作業者が、勘で細かいネジを締めた場合は締めすぎに、太いネジでは締めすぎ不足になりがちな傾向がある。そんな失敗を防ぐためには、やはりトルクレンチを使うに限る。ネジサイズごとの一般的な締め付けトルク(N・m)は、下記の表の数値を参考してほしい。


 ネジの呼び径  普通のネジ  樹脂ネジ 強力なネジ 
 M6  5.2  2.6  9.2
 M8  12.5  6.2  22.0
 M10  24.5  12.5  44.0
 M12  42.0  21.0  76.0
 M16  106.0  53.0  190.0

プラスチックのネジや相手側の締め付け材が樹脂の場合は、普通のネジの半分ほどのトルクで締める。
熱処理などが施された丈夫なネジを使っている箇所はでは、普通のネジの1.8倍のトルクで締めるのが一般的とされている。

ただ実際には、ネジを使ったとしても業種の違いやメーカーなどによってかなりの違いがある。とくにクルマに使われるネジだと、もっと高めのトルクで締め付けられるのが普通で、エンジン内部などに使われる重要なネジはとなると、さらに別。締め付けトルクもまったく違うという場合もある。

締め付けトルクはN・mで表示されるが、この単位は力(N=ニュートン)×長さ(ボルトの中心から力を加える位置までの距離)。ただ、機械の性能を考えるうえで重要なのは、ネジを締め付けるトルクではなく、ネジで押さえつける力、軸力なので、締め付けトルクの管理が重要だというのは、適切な軸力を得るための手段というわけである。そこで重要なのが、トルクと軸力の関係。それと同時に、ネジの締め付け時には摩擦という不安要素が絡んでくる。

ネジを締めたときに、そのトルクの50%は座面の摩擦として食われてしまう。そして40%はネジ部の摩擦となる。つまり、締め付けトルクのうち、軸力に変換されるのはわずか10%ぽっちなのである。


締め付けトルク  100% 
座部の摩擦 50%
軸力 10%
ネジ部の摩擦 40%